文化干し、文化包丁、文化鍋、文化住宅・・・
この文化とはどういう意味なんでしょう?
なんとなく分かるけど・・・!
人間の知恵により改良された物を意味するのでしょう。
でも、文化とは大げさだね。
まぁ、調べてみましょう!
まずは、「文化」の意味から
大辞泉によると、
(1) |
人間の生活様式の全体。
人類がみずからの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体。
それぞれの民族・地域・社会に固有の文化があり、学習によって
伝習されるとともに、相互の交流によって発展してきた。
カルチュア。用例「日本の―」「東西の―の交流」 |
(2) |
(1)のうち、特に、哲学・芸術・科学・宗教などの精神的活動およびその所産。
物質的所産は文明とよび、文化と区別される。 |
(3) |
世の中が開けて生活内容が高まること。文明開化。
多く他の語の上に付いて、便利・モダン・新式などの意を表す。
用例「―住宅」 |
大辞林(三省堂)によると
[1] |
社会を構成する人々によって習得・共有・伝達される行動様式ないし生活様式の総体。
言語・習俗・道徳・宗教、種々の制度などはその具体例。
文化相対主義においては、それぞれの人間集団は個別の文化をもち、
個別文化はそれぞれ独自の価値をもっており、その間に高低・優劣の差は
ないとされる。カルチャー。 |
[2] |
学問・芸術・宗教・道徳など、主として精神的活動から生み出されたもの。 |
[3] |
世の中が開け進み、生活が快適で便利になること。文明開化。 |
[4] |
他の語の上に付いて、ハイカラ・便利・新式などの意を表す。
用例「 ―鍋」 |
思った通りの意味でしたね。
<文化干し>
元は魚の干物をセロファンで包み込む事です。
干物の包装材として木箱や新聞紙を用いていた時代に、
水産加工物会社「東京仙印商店」がセロファンに包んで綺麗な仕上がりにして
販売しました。新しいものと言うことで、「文化干し」と命名されました。
1950年(昭和25年)のことです。
今では、「天日干し」に対して、機械の力を借りて乾燥(例えば冷風乾燥機)を
した干物を「文化干し」とも言っています。
「文化干し」は包装形態から製法へと変わってきた事になります。
知らなかったですね〜!!
<文化包丁>
文化包丁は、三徳包丁(さんとくぼうちょう)、万能包丁とも言います。
日本の家庭では最も一般的な包丁です。
明治維新以降、西洋文化の交流により、日本でも肉が頻繁に食されるように
なり、海外から牛刀が流入し使われるようになりました。
さらに戦後の高度成長期に入ると、一般家庭でも西洋料理や洋食が多く取り
入れられるようになりました。
したがって、野菜と肉の両方を調理できる包丁が生み出されました。
三徳の意味は「三つの美徳」や「三つの用途」を意味していて、
三徳包丁は、肉、魚、野菜など幅広い材料に対してさまざまな切り方が
出来る軽く便利な万能型な包丁です。
(「菜切包丁」「牛刀包丁」「刺身包丁」の使い方ができます。
刃が薄ので出刃包丁の代わりは出来ません。)
万能包丁と言われるのはこの理由からです。
日本独特の形であり、海外でも好評を受けています。
「文化」とついたのは、戦後「文化」という言葉が流行った事が影響しています。
ちなみに、刃物の材質をステンレスにすることで錆びなくなり、
包丁の研ぐ必要がなくなったから「文化的」とする説もありますが、
正確ではありません。
包丁の材質よりは、形状から三徳(文化)と名付けられました。
三徳包丁の中でも後にステンレス鋼が発売され、家庭で扱うのに軽くてよいと
いうことでヒットしたので、錆びない説になったものです。
<文化鍋>
釜炊きより簡単に炊飯できるようにした炊飯専用の深さがある両手鍋です。
材質はアルミ合金製で、鍋の縁が蓋よりも上にせり出し、重さのある蓋は
富士山の裾野状の形となっているのが特徴。昭和30年台に大ヒットしました。
本来、炊飯に最適化されて作られた鍋ですが、厚みもあり熱効率が良いことから、
煮込み料理に利用されることもあるそうです。
電気・ガス炊飯器の普及により利用者は激減しました。
1945年(昭和20年10月)に、 埼玉県川口市の文化軽金属鋳造株式会社が
文化鍋の実用新案特許を取得しています。
文化軽金属鋳造株式会社は、
実用新案特許取得を期に関東軽金属器物鋳造株式会社から社名変更しました。
最初の特許は既に満了しています。
今でも、サイトを検索すると、文化鍋が購入できます。
亀印・文化鍋が多数検索できます。製造元は株式会社トオヤマです。
最近、美味しいお米の炊き方で雑誌などで注目されているようです。
その記事が同サイトに載せられています。雑誌、新聞に掲載
◇当初は「防えき釜」(ぼうえきかま:ふきこぼれをふせぐ釜という意味かな?)
として誕生したが、文化という言葉が流行したので「文化鍋」に変更された。
◇文化鍋は今でも年間1万台の売上げがある。
という記事もあります。
炊飯鍋から、TVショッピングでよく見かける「無水鍋」を連想します。
TVでの解説で、元々は美味しいご飯を炊きたかったために製作しましたと
言っています。サイトでも調べてみました。
日本食生活改善指導会のサイト
・無水鍋Web
・無水鍋オフィシャルサイト
でも書かれていましたので、抜粋します。
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1953年(昭和28年)、日本で最初のアルミ合金鋳物厚手鍋として誕生しました。
目指したのは、“釜で炊いた米の味”。
昔、かまどに羽釜をかけて薪で炊いたご飯は、米の一粒一粒がしゃきっと立って、
芯までふっくらと仕上がっていました。
このかまど炊きの味を、鍋で再現できないかと生まれたのが無水鍋です。
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日本で最初のアルミ合金鋳物厚手鍋ってありますが、
多分、「厚手鍋」って所が初なのでしょう。確かに肉厚です。
<文化住宅>
文化住宅と呼ばれるものには以下の二つがあります。
A: |
主に大正時代中期以降に流行した、洋風生活を取り入れた一般向け住宅のこと。
開国により住宅においても洋風の生活に対する憧れが広まっていった現れです。 |
B: |
関西地方で、主に1950〜60年代に建てられた集合住宅の総称。
それまでの長屋やアパートなど集合住宅の多くが便所や台所を共用としていた
のに対し、これらの設備を各住戸に独立して配置したことから、従来の集合住宅
よりも「文化的」という理由です。 |
<その他の文化のつくもの>
日本文化シヤッター株式会社
「文化シャッター」社名の由来2010年5月17日 (月) からそのまま転記します。
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シャッターを主とした、ビル・住宅建材の総合建材メーカーの文化シヤッター。
会社設立の昭和30年代はまさに高度経済成長期。
あの後楽遊園地ができたのも、コカコーラや初代カローラが発売されたのも
みんな同時期。そんな国民のライフスタイルが、大きく変わっていく中で、
「文化住宅」、「文化包丁」、「文化鍋」など、『文化』の冠がつく商品は、
時代の「最先端」や「技術の進歩」を象徴するものとして、庶民生活の中に
急速に浸透、普及したそうです。
当時はまだ珍しかった防火、防犯、防風の機能を持つ店舗向けの“シャッター”
の製造・販売によって事業を拡充・発展させるため、商品名に時代の最先端を
いく『文化』という冠をつけたのが、日本文化鉄扉(株)、
同年に「日本文化シヤッター株式会社と変更し、1970年には、現在の社名で
ある「文化シヤッター株式会社」になったそうです。
お気付きでしたか?シヤッターの「ヤ」の字がを大文字で表記されていることを!
「ッ」と並んで小さい文字がつづいてしまうと字の据わりが良くないことから、
デザイン的に体裁を整えるために「ヤ」を大文字にしているそうです。
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<まとめ>
文化が冠につくのは、明治時代に日本に西洋の文明が入ってきた頃、いわゆる
「文明開化」の頃かと思っていましたが、戦後のことなんですね。
1950〜60年代(昭和20〜昭和30年代) に「文化」という言葉が流行った時代が
あったのですね。
その流行の波にのって新しいものに文化がつけられたと言う訳です。
この場合の文化は、
本来のカルチュアーという意味ではなく、単に「新しい」という意味しかありません。
参考にしたサイト
・Yahoo! JAPAN 辞書 の「文化」で検索 (大辞林:三省堂,大辞泉:小学館)
・語源探偵団 の探偵記録の 文化干しはなぜ<文化>?
・築地東仙のホームページ の 灰干し熟成おいしさの秘密(おまけの雑学)
[灰干し熟成おいしさの秘密でnextで進んでください]
・フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 の 「文化干し」 で検索
・フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 の 「三徳包丁」 で検索
・ビバホーム > 住まいの豆知識>DIY&ノウハウ>包丁特集> 三徳包丁を知ろう
・天然砥石採掘・販売 砥取家(ととりや) の砥石掲示板 何でも雑談室
りのさんのウンチクついでに(2008-07-18 09:06:22)
・フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 の 「鍋」 で検索
・無水鍋Web
・無水鍋オフィシャルサイト
・こだわりやさん.com の 文化鍋 と 無水鍋
・文化軽金属鋳造株式会社の川口鋳物屋日記
・文化軽金属鋳造株式会社 味わい鍋 の 味わい鍋とは
・フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 の 「文化住宅」 で検索
・文化シャッター の 文化のあゆみ
・「文化シャッター」社名の由来2010年5月17日 (月)
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