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肴の語源
お酒を飲む時に、「酒の肴(さかな)に・・・」とよく言いますよね。
この肴って何なんでしょう?。

インターネットで「肴」で調べると、大体が下のような文章で表されています。

「酒菜」が語源。もともと副食を「な」といい、「菜」「魚」「肴」の字をあてていた。
酒のための「な(おかず)」という意味です。

何となくどこかまだ疑問が残る説明ですね。
「菜」の字をあてたのまでは分かりますが、なぜ、「魚」「肴」の字をあてたの?
などなど。

では、調べて行きましょう。
「肴」「酒菜」での検索では、ヒット件数が多く、上位の内容では疑問を
解決できませんでした。
思い切って、発想の転換で「象形文字」&「肴」,「魚」で調べてみました。
ざくざく出てきましたよ。私なりに理解してみました。

「酒菜」とは
「酒菜」は「さか-な」と読みます。
「酒」は、酒屋とか酒盛りのように、「さか」と読むことで理解できます。
「菜」は、艸(くさかんむり)+采(摘みとること、採取)で 「つみな」が起源です。
「菜」は素直に「な」と読めますね。一般的に「菜」とは、植物を表しますが、 ここでの菜は、もっと広い意味で「おかず」という意味です。
元々は、草食が主であったのが、肉食の文化が進むにつれて、 一般総称となったのではないかと推測します。
「おかず」を漢字で表すと「お菜」となるので納得できます。
従って、「酒菜」は、お酒を飲む時のおかずという事です。

「酒菜」→「酒肴」→「酒魚」
「肴」は『月』+『爻(コウ)』の複合した文字です。

『月』は肉を表わします。
内臓の臓のように月(にくづき:つきへん)がついています、
この月(にくづき:つきへん)は肉を表しています。
胃は田+月の造語です。
田は元々は□の中に※が入った文字で、物が詰まった状態を表し、
胃は、物が詰まった状態の内臓を表しています。

『爻(コウ)』は「交える」の意です。
つまり、「肴」は、いろいろな肉を並べたご馳走が原義です。
読みは「菜」と同じ「な」です。

「魚」は骨組みの張った「さかな」の象形文字です。
読みは「菜」と同じ「な」です。

「酒肴」は、お酒を飲む時の肉類のおかずの意味です。
「酒魚」は、お酒を飲む時の魚類のおかずの意味です。

お酒を飲む時の一般的なおかず「酒菜」の同音の言葉として、
おかずとして肉類を食する文化が進み「酒肴」に、
特に魚がおかずとなることが多いので「酒魚」になりました。

「酒肴」→「肴」 「酒肴」(さかな)を一文字で表し、「肴」(さかな)となりました。
従って、「肴」は、お酒を飲む時の肉類のおかずの意味ですが、
お肉だけに限定せず、お酒を飲む時の一般的なおかずを表します。
今では、食べ物だけでなく、お酒の飲む時の話題としての意味も 付け加わりました。
「酒魚」から「魚」
「魚」の読みは「な」、「いお」→「うお」と変わりました。
「酒魚」(さかな)を一文字で表し、「魚」に「さかな」の読みも加わりました。
魚の「さかな」読みが「酒菜」→「酒魚」→「魚」からです。

「魚」の古来の呼び名
【古事記伝】に「魚」の記述が多数ありますで、一部を記載します。
 空白行は、中略を示しています。
 詳しくは、「NANAしんぶん」の「真名真魚字典」を見てください。
 抜粋文は難しいので、下段に要約文を記載しています。
 面倒な時は、とばし見してください。

是レもなほ釣(ナツル)を云なるべし。

(ウヲ)を那(ナ)と云は、饌(ケ)に用る時の名なり。
 (注)饌とは、供え物。また、調えられた食物・食事。供えた食べ物。ごちそう。

只何となく海川にあるなどをば、宇乎(ウヲ)と云て、那(ナ)とは云ハず。
此ノけぢめを心得おくべし。

釣(ナツラス)なり。これら釣(ツルウヲ)は、 饌(ケ)の料なる故に、那(ナ)と云り。

さて菜(ナ)も本は同言にて、にまれ菜にまれ、
飯に副(そへ)て食(ケフ)物を凡て那(ナ)と云なり。

夕菜(アサナユフナ)、これ朝も夕も那(ナ)は一ツなるに、 魚と菜と字を替て書るは、菜に渉る名なるが故なり。
さて其ノ那(ナ)の中に、菜よりもをば殊に賞(メデ)て、 美(ウマ)き物とする故に、称(ホメ)て真那(マナ)とは云り。
 (注)賞も称も、ほめること。

故レ麻那はに限りて、菜にはわたらぬ名なり。
今ノ世に麻那箸(マナバシ)麻那板(マナイタ)など云も、 を料理(トトノフ)る具に限れる名なり。
さて、真咋(マナグヒ)と云名目(ナ)は中昔の記録ぶみなどに、 -味と云ヒ、今ノ俗に-類の料-理と云ほどのことゝ聞ゆ。

鱗は伊呂古(イロコ)と訓べし。和名抄に、唐韻ニ云ク、鱗ハノ甲也。

をも、中昔には伊袁(イヲ)と云へれども、
今は多く宇袁(ウヲ)と云を、古言にも宇袁(ウヲ)と云り。
然れば、鱗も、中昔にこそ伊呂古(イロコ)とのみ云ヘれ、 古事は宇呂古(ウロコ)なりけむも知リがたし。

を、麻那(マナ)とも訓べし、上巻に、真(マナ)とあると同じければなり、

は、食ノ料にするをば、凡て那(ナ)と云例なり、

要約すると、
「魚」を、ナ、ウオ、イオと呼ぶ。
ナ、イオ、ウオは魚そのものを指し(イオはウオの昔の呼び名)、
料理された魚を那(ナ)として区別される。
菜と魚(ナ)は同音なので、区別するために、魚料理に限り
マナ(真魚、真那、麻那)と呼ぶ。(麻那は同音からの呼び名)
まな板の「まな」は、このマナに由来する。
ウオは昔はイオと呼んび、魚の鱗(ウロコ)も昔は、イロコと呼んでいた。

「魚」を「さかな」読みできない時代(当用漢字の時代)
明治時代には、魚を「さかな」と呼ぶのは一般化していたようです。
しかし、終戦(敗戦)後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の占領政策の 国語国字改革の下、簡素化と平明さを目指して策定された「当用漢字表」により 魚は「さかな」の読みができなくなりました。(「ぎょ」、「うお」の読みのみ) 「さかな」は、平仮名表記となりました。

当用漢字とは
第二次世界大戦前から漢字制限主義者と表音主義者は、漢字は数が多く学習に困難である から制限または廃止すべきであると主張していましが、民間や文学者、日本語学者からの 反対意見も強く、改革は行われませんでした。
戦後、戦時下に作成された標準漢字表内の常用漢字を基に1946年(昭和21年)11月16日に 内閣から当用漢字が告示されました。
「当用」という名称は、漢字の全廃を目的として、全廃まで「当面使用できる」という意味。
昭和21年11月5日に漢字表を公表後、わずか11日後の16日に内閣告示であり、十分な討議が されないままの極めて性急なものでした。
使用上の注意として、当用漢字で書けない場合には、言葉を変えるか、かな表記にすべきと さていました。
漢字の書体については、後に発行されると当用漢字字体表と共に簡略漢字の使用の指導も 行っています。

当用漢字の実施時期時期は大きく分けて、4期間に分かれています。
第1期(当用漢字別表)
1946年(昭和21年)11月16日に告示。(1850字)

第2期(当用漢字別表、当用漢字音訓表)
1948年(昭和23年)2月16日に、当用漢字別表、当用漢字音訓表を告示。

第3期(当用漢字字体表)
1949年(昭和24年)4月28日に当用漢字字体表を告示。
1956年(昭和31年)7月5日の国語審議会報告によって、代用字と代用語が使用される事になのました。

第4期(当用漢字改定音訓表)
1973年(昭和48年)6月18日に当用漢字改定音訓表を告示。
「漢字全廃の前提」から「漢字仮名交じり文が前提」として、音訓の読みが大幅に改定され、 357の音訓を追加し、新たに当て字や熟字訓のうち日常生活で高頻度に使用される106語を 「付表」としてまとめています。

当用漢字の廃止(常用漢字の制定)
1981年(昭和56年)10月1日に、常用漢字表を告示。(1945字)
「法令・公用文書・新聞・雑誌・放送等、一般の社会生活で用いる場合の、 効率的で共通性の高い漢字を収め、分かりやすく通じやすい文章を書き表す ための漢字使用の目安」で、強制力を有するものではありません。

「魚」の「さかな」読みの復活 (当用漢字改定音訓表)
1973年(昭和48年)6月18日に当用漢字改定音訓表を告示に伴い、 「魚」を「さかな」と読むことが復活しました。
当用漢字時代は「魚」を「さかな」と呼べなかったと言うのは誤りで、 当用漢字改定音訓表を告示以降は認められています。

参考にしたサイト
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「肴」 で検索
Yahoo! JAPAN 辞書 の「さかな」で検索 (大辞林:三省堂,大辞泉:小学館)
Takasho's Hermitage の日英ことばの十字路 PART Tの さかな
はるか髭G肴噺・魚偏プロローグ
NPO法人 東京中央ネット の「魚河岸発!」
   2004.12月号「言葉」から見る魚と日本人との付き合い
株式会社サンビゴー のお魚図書館 第1章 さかなって・・・第2章 魚名の由来
中津魚市(株) のお魚雑学 お魚名前辞典 2009年4月 「さかな」、「アイゴ」の名前の由来
NANAしんぶん真名真魚字典
・Yahoo! JAPAN 知恵袋の「魚」が「さかな」でない理由
・Yahoo! JAPAN 知恵袋の常用漢字と当用漢字の違い
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「当用漢字」 で検索
菊池真一研究室 の漢字研究・漢字資料 当用漢字関連資料


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